廟前広場の前方右側には信徒が神明に捧げる金紙を燃やす金炉があり、別称金亭と呼ばれています。金炉は鉄筋コンクリートとレンガで造られ、屋根は宝形造を模し、中央の最高点に向かって屋根が収束する形となっています。建物は三層構造で、階層間にはオレンジ色の屋根瓦と軒平瓦で軒が造られ、屋根の棟部分には「剪粘」の装飾が施され、各階層には「火を制する鰲魚」「羽を広げた鳳凰」といった装飾主題があり、最上層には火と煙を好む龍の子「狻猊」の姿が見られます。軒下は様々な大きさの「花籃」で装飾され、金炉の神々しい輝きと炎を表現しています。


  •   第一層の鯉の口からは水が吐かれ、吐かれた水がつる草に変化しているさまは趣向に富むと同時に、一般的な伝統建築によく見られ、火災防止のゲン担ぎでもあります。壁面には石彫と「対聯」が施され、それぞれの壁には蟠龍の石柱が計6本立ち、非凡な風格を放っています。

      第二層の鳳凰は羽を広げて高く飛び立つ姿を表現し、第三層の龍は頭を上げて自由自在に雲の上を滑走するような造形となっています。軒下には擬木で作られた斗と栱が画一に積まれ、角には「花籃」がぶら下がっています。第二・第三層の壁面に複雑な石彫はなく、シンプルに六面の壁中央に単層のななめ掛け格子窓が造られ、軒下との境目には水平の帯状に石彫が施されています。炉の上に立つ煙突にはステンレス材が用いられ、白い煙が炉が盛る様子を表し、巻き付いた龍は俗世の様々な出来事を見通すかのように静かに頭をたれています。