図書館は關渡宮8つの建築物の西側に位置し、財神洞入口の隣にあります。四階建ての図書館は山を背に建てられ、淡水河に面しているため視野も開けています。屋根は伝統的な切妻屋根で、左右の妻壁に大型で色とりどりの「堆花」装飾が施され、図書館の正門には「堆花」と「剪粘」で造られた「牌楼」(中国伝統建築の門)が聳え立ち、傍の媽祖霊験の事跡を描いた石彫の壁と共に、お互いを引き立て合っています。
図書館の正門は屋根付きの石彫の門楼が建てられ、門の上には牌楼と同じような造りの壁があり、迫力を増しています。庇は上下二層に造られ、軒部分には瑠璃瓦が使用されています。牌楼の壁面は「堆花」と「碗片剪黏」で装飾が施され、正門を美しく飾っていますが、上層にある大型の孔子塑造はとくに目を引き、図書館の象徴となっています。孔子像は「堆花」の技法で制作され、モルタルで塑造して彩色されています。また、正面からやや左側を向いた立ち姿で、古代より伝わる孔子像の造形を再現しています。塑像は白鬚を蓄えた老人で、荘厳な雰囲気を漂わせています。
媽祖霊験の事跡を描いた石彫の壁は、近年になってようやく完成した建設物で、關渡宮西側の山麓に造られ、広場と淡水河を一望し、規模も広大で、台湾の媽祖廟の中では特色ある建造物と言えます。石壁は全長105メートルあり、69の媽祖の事跡を記した石彫がはめ込まれています。壁面の造りは頂上部に短い庇が造られて屋根を形成し、屋根の正面と頂上は「碗片」で装飾され、潘坤地、徐明河、陳世仁らの工匠によって、2008年に完工しています。
石彫壁の装飾には三川殿と同じく「碗片剪粘」が用いられ、同時期に造られたもので作風も類似し、台湾近代の「碗片剪粘」を代表する作品と言えます。特色としては、他の廟では見られないほど幅が極端に長く、屋根の剪粘装飾の中でも斬新なデザインとなっています。老練の工匠達によって、多くの人物の物語や吉祥を象徴する花鳥等の図柄が施され、計35組の情景で構成された巨大作品は、台湾で唯一無二の「剪粘」と言われています。