凌霄宝殿は關渡宮正殿の後方に位置し、關渡宮で最も高大で立派な建築物です。社殿は大型の高層建築で、主殿は最上階の中央に位置し、左右にそれぞれ鐘楼と鼓楼があります。主殿は特殊な造りで、「正四垂八翹」の屋根の上に更に「正四垂」を載せた三層構造で、全部で12の「串角脊」(屋根の四隅に向かって伸びる下り棟)があり、下から上へ「海龍王騎龍」(龍に乗った海龍王)、「仙女騎鳳」(鳳凰に乗った仙女)、「童子騎鰲魚」(鰲魚に乗った童子)が飾り付けられています。最下層の屋根には一番大きな龍を置き、中間には次に小さい鳳凰を、最上層に最も小さい鰲魚を置くことで、上層へ向かって装飾物の体積を減らし、視覚的にも安定感を作り出しています。

  主殿頂上部の大棟には「八仙慶寿」のモチーフが置かれ、中央に「天官賜福」、両端に「翻身龍」が造られています。龍にはそれぞれ武将が跨り、一方の手に旗(「祈」と同音)と球(「求」と同音)、もう一方には戟(「吉」と同音)と磬(「慶」と同音)を持ち、「祈求吉慶」を象徴しています。また、龍の傍には「松鶴延年」をモチーフとした造形があり、跳ね上がった屋根両端の下にある「印斗」(三角形の壁部分)には剣を持った武将が造られています。

  凌霄宝殿は霊山公園の坂を背に造られ、坂の上から眺める宝殿は非常に壮観です。宝殿には「福禄寿三星」を主題とした大きな壁面があり、台湾では珍しい「堆花」の壁面装飾となっています。この壁は霊山公園の正面を横切るようにして造られ、關渡宮裏山の重要かつ特色ある景観を形成しています。壁面の制作は約28年前の1987年まで遡ることができます。登場する人物は三星、侍女、童など全部で16体あり、豊かな造景と共に画面をにぎわせています。登場人物はすべて同じ台上に立ち、優美な枯れ山水を背景に、奥行きのある構図となっています。遠景は絵画で描かれ、遠くに行くほど淡い色を用い、中景は浅浮彫りで造り、近景は更に立体的な浮彫りを施しています。左側の松の木と右側の建築物からもこのような手法の使い分けが見て取れますが、階層構造を明確にすることで人物との対照を際立たせ、より奥行きのある表現となっています。