民国75年に凌霄宝殿の第二進部分が完工し、続いて民国83年に二度目の改装工事が行われ、89年の竣工の際には「凌霄宝殿落成碑記」が建てられました。凌霄宝殿の石彫は主に5・6階に集中し、民国85年に福建恵安海峡石業公司に委託して、中国の現代石彫師である王経民の主導のもと、立派で華麗な石彫が施されています。中でも目をひく左右両側の「龍虎窓堵」の石壁は、きめ細やかな青斗石で制作されています。また、凌霄宝殿の内外の壁には大型の石彫が満遍なく施され、多くの人物像がひしめく様子は大層壮観です。

  凌霄宝殿の龍柱には、2~3層に及ぶ「弄空」(空洞を作る)の彫刻技法で水蒸気の塊を彫り出し、漁網のように多層になっています。誇り高く持ち上げられた丸彫りの龍の頭、大きく広がった鬚、珠を握る鋭い爪は、天から降り立つ神龍の雰囲気を醸し出しています。龍柱の緻密で華麗な透かし彫りは、実に見る者の目を奪います。また、壁面には「福禄寿」に関する人物や吉祥図、各種歴史物語等を題材とした彫刻が刻まれ、絵画のように彫刻が光と影の視覚効果を生み出し、生き生きとした造形で目を楽しませてくれます。両側に位置する巨大な「龍虎窓堵」は重さ約3.8トンあり、入り組んだ龍と虎が迫力ある丸窓を形成しています。丸窓の四隅には花を抱えた4名の天女が佇み、枠周辺には『三国演義』のシーンが彫刻されています。

  全体的に、凌霄宝殿の石彫は中国現代石彫の大家・王経民によって設計され、様々な題材を用いて、豪華で壮大な彫刻が施されています。このような大型制作には、現代機器や空圧工具が多用されますが、上述の龍虎の石彫や凌霄宝殿前方の龍柱、石獅子、壁面、「祈求吉慶」、「集瑞」等は、大型の迫力を追及しつつ、工具の性能を発揮した細やかな彫刻を施しています。