凌霄宝殿は三川殿と正殿の後ろに位置しているため、通称「後殿」と呼ばれ、現代建築様式の宮殿となっています。六階建ての凌霄宝殿は全ての建築物の中でも最高層を誇り、祀られている神明も最高神格にあたります。当殿は戦後の廟の高層ビル化を象徴し、土台部分は現代建築に基づいた構造のため、伝統的な寺や廟の階段数の計算は行われていません。床面はレンガ・花崗岩・大理石を混合して造られ、活発な印象で、軽快な歩行を約束しています。
建材には現代的な鉄筋コンクリートが使用され、出入口正面の壁には「忠義」や「孝道」に関する物語の石彫が施され、壁面に日が差し込むと更に立体的な印象を見る者に与えます。屋根は「重簷」(二重構造の屋根様式)と「假四垂」(屋根の上に屋根を重ねた様式)の混合様式で造られ、大棟中央には「天官賜福」が置かれ、山吹色の屋根瓦・瓦当・軒平瓦が使用されています。屋根の「脊堵」(大棟の下にある装飾を施す部分)、「垂脊」(下り棟)には「交趾陶」と呼ばれる屋根装飾が施されているほか、「花籠」や「如意斗拱」といった装飾品は、全てモールドをもとに制作されています。
凌霄宝殿には中門、左右の「偏門」と「円洞門」(円状の門)の計5つの門があります。入り口前のポーチとテラスがつながっているため、三川殿と正殿の間を両脇から抜けて、後ろの鐘楼・鼓楼の階段から先に進めるようになっています。各階の空間は部分的に事務員の倉庫として使用され、三階の太歳殿では参拝者用に太歳灯を設けています。殿内には玉皇上帝(俗に「天公」と呼ばれる)、三官大帝(天官・地官・水官を指し、神格は天公に次ぐ)、東華帝君、瑤池金母、南斗星君、北斗星君、太陽星君、太陰星君が祀られ、中央に三官大帝が鎮座し、左に東華帝君、右に瑤池金母、前方頭上には玉皇上帝、左側に南斗星君、右側に北斗星君といった配置になっています。
部屋は二階建ての吹き抜けとなっているため、参拝する位置から玉皇上帝を見上げると、圧倒的な存在が感じられます。殿内はあたかも仙境に身を置いているかのように尊く、閑静な空間の中では一切の憂いさえもかき消され、心洗われるままに跪いて誠心誠意の祈祷を捧げ、全ては無言の中に語られています。