内檐は室内の仕切りや装飾を指し、「隔断」(仕切り壁)、「罩」(籠)、「博古架」(陳列棚)、「太師壁」、「屏門」、「天花」(天井)、さらには宮殿建築や廟建築のみに見られる「藻井」(天井装飾の一種)が含まれます。内装は廟の位階と建設背景を表し、経過した歳月の分だけ外装部分が風雨に晒されるのに対し、内装は外的影響を受けての変形や変色が少なく、使用される材料や作りにもこだわりが見られます。これらは陳列物として、さらには芸術的・実用的価値を兼ね備える物として、伝統建築の中でも重要視され、神聖な空間で作り手の腕を存分に発揮できます。
「隔断」(仕切り壁)は境界もしくは室内を区切る壁のことを指し、完全に空間を断絶する場合と部分的に仕切る場合があります。「罩」(籠)と「博古架」(陳列棚)にも空間を仕切る機能があると見なされ、部分的な仕切りであることから「軟性」(ソフトな)境界と言われています。「太師壁」と「屏門」は伝統建築の広間裏口に造られ、こちらもソフトに境界を引く役割を果たしています。中でも「太師壁」は広間後方の中央に造られる通り抜け不可の壁で、透かし彫りが施されていることが多く、装飾としての役割を持つ他、通気孔や採光用窓としての機能も持ち合わせています。
「欄干」には安全性を確保する役割の他に、象徴的意義も兼ね備え、「闌干」「欄檻」「鉤欄」と呼ばれています。通常は高度のある場所に造られ、建造物の中でもテラスやロフト、通路等の端部分にある遮蔽物を指します。「天花」は室内の天井部分で、屋根の構造部よりも下位に位置し、木の角棒で格子状に組んだ物の上に、浮彫や彩色を施した薄い木の板を被せています。天井部分の内装は他に「藻井」があり、斗と栱を組み合わせて構成される天井装飾で、蜘蛛の巣のごとく複雑な網目から、一般に「蜘蛛結網」(蜘蛛の巣)と呼ばれています。