「外簷」は屋根外縁から軒下にかけて、室内と室外の間に位置する木製部分を指し、「門」と「窓」が含まれます。關渡宮の建築様式は複雑多様で、どこにいても明るく温かい「光明灯壁」、荘厳で鬼気迫る門神、吉祥を象徴する書斎の窓等が見られます。以下では中国建築の「外簷」のうち、「門」と「窓」に関する建材と様式について説明します。

  寺や廟の門には、世俗空間と神聖な空間を隔てる意味があります。關渡宮に入る前に「四柱三間」(柱四本の間に三つの空間がある門の様式)の山門をくぐりますが、山門には「關渡宮」の看板が掲げられ、山門の外の世界と山門内の荘厳かつ清閑な宗教領域を隔てています。続いて、三川殿と両側の翼門によって構成された豪華絢爛な五門殿にたどり着きます。三川殿の門は外から中へかけて、独立した三川門と両側の翼門(龍門・虎門)、ならびに他の空間(媽祖殿、観音仏祖殿、文昌帝君殿、延平郡王三将軍殿、凌霄宝殿、古仏洞、財神洞、薬師仏殿、廣渡寺、功徳堂等)へと通じる門に分けられます。

  門の数からは、祀られている神明の神格を推測することができます。一般には、一・三・五・七の奇数で構成され、例えば關渡宮の主神である天上聖母媽祖は帝王級の神格にあたるため、伝統に従って五門三殿が割り当てられ、将軍王爺級であれば多くて三門、神格が最下位の土地公は一門のみとなり、俗に言われる「土地公、三面壁」の様式に当てはまります。

  伝統的な窓は「窓孔」(窓穴)、「窓框」(窓枠)、「窓櫺」(窓枠内にはめ込まれた装飾)の三つの部分に分けられ、關渡宮では「木窓」と「磚石窓」(レンガや石等の硬い素材の窓)の二種類あります。また、「磚石窓」はさらに「釉掛けレンガ窓」と「石造竹節窓」に分けられます。例としては、正殿後方の壁に「六扇石彫八卦漏窓」があり、凌霄宝殿に通じる階段の途中には八卦や四角い形の「木窓」が見られます。

  木造窓の他に、三川殿の左右翼殿の壁には透かし彫りで造られた一対の石彫窓があり、三川殿・延平郡王三将軍殿・凌霄宝殿・古仏洞・財神洞入口付近でも、類似した技法が見受けられます。これらの窓枠は長方形、正方形、円形、八卦等の形をとり、透かし彫り部分には人物、螭虎、龍、虎等が彫られて様々な吉祥の意義を語り、多様かつ深遠な寓意を持つ伝統建築の特色が見られます。